ドイツ・バイエルン旅行(7)---リンダーホーフ城
第4日目
たっぷりのバイエルン風の朝食のあと、車でリンダーホーフ城へ。
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途中の渓谷にマクシミリアン2世の像が。崖に像が埋め込んである。地元の人が知るマイナースポットとのこと。 |
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リンダーホーフ城までの道のりは
山間のヘアピンカーブを幾つも経る。
現在も公共交通の便が未だに悪い。
しかしそのせいか、周囲の風景は素晴らしい。
上高地や白馬を思わせる。
日本人としては懐かしい光景だ。
点在する湖は青く澄み、
背後のババリア・アルプスが映える。
アルプスの山並みの丈夫には
万年雪が残り雲がかかる。
人間嫌いのルートヴィヒ2世は
わざと不便な場所に城を作り続けたのが
明白にわかる。
大勢の人が訪ねにくいように。
そして都会の喧騒よりも、こんな自然の中を好んだ。 |
リンダーホーフ城(Schloss Linderhof)は、ドイツ、バイエルン州南西のオーバーアマガウ近くに位置する。
リンダーホーフ城は、バイエルン王ルートヴィヒ2世が建設した3つの城のうち、唯一完成した城で、
1874年に建築が開始、1878年に完成。
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城入り口のルートヴィヒ2世像 |
お昼は城内インビスのホットドック。
観光地の売店のソーセージでさえ美味しいドイツ |
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宮殿の内部はまたもや撮影禁止だった。外の写真を撮影しまくる |
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リンダーホーフ城の宮殿は、ヴェルサイユ宮殿内の
トリアノン宮殿を手本にしたルネサンス様式の宮殿とのこと。
17世紀の様式を200年後の19世紀に取り入れている。
つまり懐古趣味である。
内部はロココ様式で、小さなベルサイユ宮殿といった印象。
趣向の異なる小さな施設を庭園の各地に
点在させてるのもトリアノンっぽい。
宮殿内にはルイ14世、ルイ15世、
ポンパドゥール夫人やマリー・アントワネットの像や肖像。
ルイ14世を尊敬していた王の趣味が発揮されている。
しかし小さい分余計に金の装飾が目立ち、
ベッドルームはこんなに金ピカで眠れるのか?と思うほど輝いていた。
マイセン磁器の装飾もふんだんに見受けられた。
そこはさすがドイツだ。
といっても、ルートヴィヒ2世のころは、ドイツではなくてバイエルン王国だったが。 |
豪華な内装に反比例し、王はここでは、召使も最小限しか携行しなかったという。
そして食事さえも一人で摂り、夢想することを好んだという。
ヘーレンキームゼーにもあったが、王の食事用のテーブルの仕掛け。
王は一人で食事を摂る事を好んだ。なので、食事は召使が直々に運ぶのではなく
テーブルがリフト式に階下から食事を載せてせりあがってくる。
コースが終わったらテーブルが下り、次のメニューを載せてまた上に上がるという仕組みの装置だ。
このバイエルン王ルートヴィヒ2世が、食事を一人でとりたがる傾向は、太宰治の「人間失格」を思い起こさせる。
人間失格の主人公。欺きあいながら寄り添っていく世間に対する難解さ。その結果選んだものは「孤独」だった。
そして「人間失格」の主人公は、団欒が息苦しかった。
大勢でテーブルを囲み、話題を探しつつ、その場をしのぐための張り付いた笑顔や冗談が繰りかえされる。
毎日毎日、重役の接待で食事をしているようなものだ。料理の味なんてわかりゃしない。
宮廷人なら尚更、そんな社交だらけだろう。
ルートヴィヒ2世は、その息苦しさを回避する為このような手段を取ったのかもしれない。
19世紀当時だと、これがキチガイ扱いされるのだろうが、このように考えるとルートヴィヒ2世の思惑はよくわかる。
だから現在、世界中からルートヴィヒ2世に思いを馳せる人々がやってくる。
王の孤独と己の孤独を重ね合わせる人々は多い。
ここで見たかったのは、本殿よりも庭園に点在する数々の施設である。
これらは撮影がOKだったので出来る限り撮った。
とにかく見たかったものはワーグナーのオペラタンホイザーのヴィーナスの洞窟。
人造の洞窟で、当時の最新のライトアップ技術はシーメンス社による。
またワーグナーのオぺラ、ワルキューレのフンディンクの小屋、パルジファルの
ノイシュヴァンシュタイン城のワーグナーのオペラだらけの壁画、
リンダーホフのワーグナーのオペラの中に出てくる場所の再現アトラクションの数々。
まさにワーグナーのディズニーランドである。
確かにディズニーランドのシンデレラ城はノイシュヴァンシュタイン城がモデルなので
共通項はあるかも。
また、劇場版ポケットモンスター 「 ミュウと波導の勇者 ルカリオ」のオルドラン城のモチーフは
外観はノイシュヴァンシュタイン城、内部の庭園はリンダーホーフ城とのこと。
ルートヴィヒ2世の夢の城の数々は、ディズニーだけでなく日本のアニメまで刺激しているようだ。
しかし明白な共通項がある。
ルートヴィヒ2世、ディズニー、ポケモン。これらは空想の世界、夢の世界に従事する者達なのである。
そして
リンダーホフからブルグハウゼンに戻る。夕食はF氏は作ったパスタ。
おなかがすいていて写真の撮るのを忘れたら
「何で俺の料理は写真撮らないんだよ〜」とF氏からからかわれた。 |

  
(C)2005 Run@Utrecht & オランダの羊
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