Vleermuizen
こうもり(01)


現在の要塞の主

オランダの要塞で今一番偉い存在。それはコウモリである。

レナウェン要塞はその優雅な建築からオペラやシェークスピア劇などが上演される。
2006年9月末、レナウェン要塞にてシェークスピア劇が上演される予定であった。
しかし、コウモリが例年より早く繁殖と冬ごもりの為に要塞に戻ってきたので、劇の上演が中止となった。
劇のリハーサルやノイズが臆病なコウモリを刺激するとのことである。コウモリは自然保護動物なので、劇よりコウモリが優先されたのである。
これは地元ユトレヒトのローカルテレビでもニュースになり、劇団プロデューサーがカンカンに怒って訴えていた。しかし自然保護動物コウモリには逆らえないらしい。怒ったプロデューサーの人の映像の後は、自然保護員の説明とコウモリの映像が映った。
その次の週、レナウェン要塞でコウモリ観察ツアーがあり行ってみた。テレビを見た人達が結構集まってきてた。ガイドは、何とテレビで説明していた自然保護員さんであった。
コウモリ探知機を持っており本格的である。

最初、コウモリには吸血などの怖いイメージを抱いていたが、ここのコウモリはハムスターの半分くらいの大きさで、ぬいぐるみのような可愛らしさがある。短い足で逆さまにぶら下がっている様がユニークである。
オランダの殆どの要塞は10月から翌年の春まで休業し、その間はコウモリ達の繁殖と冬ごもり場として使用される。コウモリは自然保護保護団体によって保護されており、生態調査が行われている。
日本では吸血鬼のようなイメージがあるが、コウモリ協会の人によると、デリケートな生き物で、一年に1回しか子供を産めないそうである。中国では幸運の印で、中華料理屋のロゴなどにコウモリのシンボルが使われたりする。
基本的にメスは集団で暮らし、オスは個人行動。
オランダでは20種くらいのコウモリがいたが、現在確認されているのは8〜10種類くらいだそうである。
小さなものはコガネムシ位の大きさである。
コウモリは大抵夏場は外の森で過ごしている。また、遠くリトアニアやロシアなどから渡ってくるコウモリもいるとのことである。
またオランダに天然の洞窟がないので、日本の天然洞窟のコウモリと生態が微妙に違うかもしれない、とコウモリ愛護協会の人は言っていた。
元々昔の各家庭ではチーズを作るための倉庫や地下倉庫があった。しかし近代化でそのようなものが建てられなくなりコウモリ達は要塞に移動してきた。
ちなみに2年前はレナウェンのコウモリが200匹減ったが、その年ヴェヒテンのコウモリ200匹増えたそうだ。原因はわからないが移動してきたのだろうと言われる。
かの有名なヒトラーのアトランティック・ウォール(大西洋の壁)は、ノルウェーからスペインあたりまで続いているが、現在は全てコウモリの棲家だそうである。
コウモリ愛護協会の人に言わせれば、ドイツ・バンカーはコウモリ達にとって「ヒトラーからの贈り物」とのことである。


VZZ: De Vleermuiswerkgroep Nederland van de Zoogdiervereniging

レナウェン要塞内部にて。逆さにぶら下がって寝ている。これはハムスターの半分くらいの大きさの小型種。ヒゲコウモリというらしい。
赤ん坊は人間の爪先くらいの大きさだそうである。
壁の割れ目に入ってよく寝ているそうである。
これもハムスターの半分くらいの大きさの小型種。
ブタ鼻が可愛い。

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