ベルク城に移送された翌日の午後4時ごろ、
王は、主治医で自分を精神病と診断したグッテン博士と供に散歩に出る。
1886年6月13日夜半、王と主治医は湖畔の浅瀬で水死体で発見される。
幽閉先のベルク城から徒歩15分位と、さほど離れてはいない。
死因は現在も謎のままである。
なぜなら王は水泳が得意だったからである。
また発見された場所も浅瀬で、溺死する場所には思えないというのが現在の通説である。
唯一の理解者で従妹のオーストリア皇后エリーザベトは言う。
「彼は決して精神病ではありません。ただ夢を見ていただけでした」
王が発見された地点には、現在も十字架が立ち、神秘的な光景を醸し出している。
これが見たかった。
やはり感慨深い。
I−PODでタンホイザーを聞きながら浸る。
時折、カヌーや手漕ぎボートで十字架の近くまで来る無礼な輩もいたが。
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